腰椎側面

 オステオパシーによる腰痛の治療は、脊柱の歪みを是正することで治そうとい
うものです。これは一見カイロプラクティクスに似ていますが、カイロプラクティク
スは脊椎の歪みそのものを是正するのが手技の主眼であるのに対し、オステオ
パシーではさまざまな手技により、異常な緊張をもった筋肉のリラクゼーションを
行おうというのが主眼です。ですから、オステオパシーのほうがカイロプラクティ
クスより穏やかな力を加えることが多いようです。

(参考)
   治療法の概念については、漠然としていてよく解りませんが、
   オステオパシーの歴史については詳しく書かれています
        ⇒  日本オステオパシー連合

 どのような手技を用いるのか。

 オステオパシーにおいて、手は治療のための道具であると同時に治療を加えたときの反応を感知する センサーでもあるわけです。微妙な力加減が必要で、その手技にも様々なものがあります。 また、カイロプラクティクスと影響を及ぼしあっている部分もあるようです。下記以外にも数多くの方法 がありますが、現時点で私自身の理解が不十分なので、一部の紹介程度に留めます。

   直接法
     異常な偏位を元に戻すように力を加える方法で、カイロプラクティクスのやり方に近いもので
    す。力の加え方によって、てこの原理を応用して行う方法、瞬間に圧力を入れて行うスラスト法、
    短い振幅を連続的に与える方法などがあります。

   間接法
     異常な偏位を増強するように力を加えると、緊張している筋肉・靭帯などが緩み、これと拮
    抗する組織は緊張が増します。これがフィードバックされ正常な状態に戻すように神経が働く
    という理論に基づきます。いわば自然の治癒力を期待した方法です。

   ストレイン&カウンターストレイン
     緊張した筋肉を自分の手でモニターしながら緊張部位をゆるめた位置で90秒程度維持しま
    す。緊張した筋肉と拮抗的な筋肉のバランスを取ることで、除痛をはかるものです。

   筋・筋膜リリース
     マッサージのようなやり方で筋・筋膜をストレッチしたり(直接法)、逆に弛緩させたりして
   (間接法)、筋・筋膜のリラクゼーションを得る方法です。関節にストレスを加えないので疼痛が
    少ないのがメリットです。

   筋エネルギー法
     患者の力を利用しその力に抵抗しながら筋肉を収縮させ、筋や関節の動きを改善する方法
    です。患者自身で力の加減ができるので危険性の少ない手法です。

   スティルテクニック
     オステオパシー創始者であるスティル博士のテクニックを再現したテクニック。関節の解剖
    学的構造を考え、直接法と間接法の両方の特徴を持つ技法です。頚部では環軸関節・後頭
    環椎関節と頚部の諸筋群を考慮にいれ、腰部では仙腸関節を対象に治療を行っています。


(参考)
   整形外科医が書いた、腰痛の具体的な治療についての論文です。
        ⇒  日本腰痛学会雑誌Vol.11(2005), No.1 pp.79-84

   現在オステオパシーの中心的な役割を担っているアメリカの団体です。
        ⇒  American Academy of Osteopathy

   伝統的なオステオパシーの流れを保守するイギリスの団体です。
        ⇒  General Osteopathic Council

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