腰痛の予防には体幹の筋肉を鍛えることが有効であると言われています。
                <参考文献>日本腰痛会誌,13(1):63-70,2007
 それでは筋力さえ強ければ、本当に腰痛は防げるのでしょうか? 腹筋や背筋の貧弱な人に腰痛が多いのも事実です。 しかし、腹筋も背筋も人並み外れたアスリートが腰痛持ちだったりしますから、 必ずしもそれだけで良いというわけではありません。 それでは、どのようなことに注意して行えば良いでしょうか。

 筋力トレーニングをする上で重要なこと。

 1) 腰痛を予防するには筋肉の強さより、持久力が重要です。
 2) 筋力トレーニングのあとはストレッチ、そのあとは休ませる事が不可欠です。疲労を
   残したまま筋肉を使うと慢性の痛みにつながりますから、注意が必要です。休息に必
   要な時間は人によって違いますから、自分で自分の体を良く知ること以外にありません。
 3) どの運動も、やり方を間違えるとかえって腰痛の原因になることがあります。
 4) もう一つ重要なのは、各筋肉がバランスよく働くことです。そのために必要なのは姿勢や
   体の動かし方に気をつけることです。

  上半身に力が入りすぎたり息を止めて行うと、血圧が上がる場合があるので要注意!



  @ 背筋・臀筋


  A 主に腹直筋


  B 主に外腹斜筋・腰方形筋


  C 背筋

A. 寝ておこなう、体幹筋力トレーニングの基本


@仰向けに寝て両膝を立て、お尻をすこし浮かせ、また降ろす。 これを2〜3秒に1回、10〜20回繰り返す。
・腰を反らせすぎると、かえって腰を痛めます。
・膝を曲げ過ぎると効果がありません。


A仰向けに寝て両膝を立て、両下肢を浮かせて数秒保つ。 これを10回程度繰り返す。
・下肢は、浮くか浮かないか程度で良いでしょう。
・腰が反らないように、背中に座布団等を置くと良いでしょう。
・力が弱い人は膝を少し曲げて行っても結構です。


B横向きに寝て両下肢を揃えて少し浮かせ数秒保つ。 これを10回程度繰り返す。次に、反対側を下にして同様にする。
・下肢は挙がらなくても、挙げようとするだけで結構です。
・出来ない人は上半身を少し起こすようにしても結構です。


C骨盤の下に枕を入れてうつ伏せになり、上半身を反らし数秒保つ。 これをゆっくり10回程度繰り返す。
・腰を反らせすぎると腰痛を悪化させるので注意して下さい。
 目安は頭から足先までが直線になる程度です。
・特に、腰部脊柱管狭窄症では神経の圧迫が強くなることが
 あるので上半身を起こそうとするだけで結構です。


B. 股関節周囲筋のトレーニングの基本


 股関節周囲の筋肉は骨盤を支え、ひいては腰を支える大事な筋肉です。 腹筋・背筋のみのトレーニングでは片手落ちですから、これらの筋肉も鍛えましょう。

下のいずれも、片方ずつ下肢を挙げて、また下げる。 これを2〜3秒に1回、10〜20回繰り返す。











  D 主に腸腰筋

  E 主に中臀筋

  F 主に大臀筋

C. 腰かけて行う筋力トレーニング


 デスクワークのとき、食事前テーブルに向かっているときなど、 手軽にできるのがこれらのトレーニングです。 いずれも筋肉に負荷のかかる姿勢を保つ方法ですが、注意することは次の2点です。

1) いずれのトレーニングも背筋を伸ばして行って下さい。
2) 息を止めてふんばると血圧が上がりますから、呼吸をしながらか
  あるいは話をしながら行って下さい。

   参考文献 日本腰痛会誌,13(1):52-57,2007


  G 腹筋・腸腰筋

  H 腹筋

  I 主に臀筋

G手を机にかけ体を少し前に倒し、両下肢を床から浮かせる。 この姿勢を数秒間保つ。

H上体を少し後ろに傾け、その状態を数秒間保つ。
・これは腰を反らすのではありません。
・体を斜め後ろに傾けると異なる腹筋がトレーニングできます。

I腰を少しだけ浮かして、その状態を数秒保つ。


 上記の体操を全てやる必要はありません。自分にあった、継続できそうなものをいくつか選んで行ってみて下さい。

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