トリガーポイント トリガーポイント

 トリガーポイントとは圧痛点(押さえて痛む部分)のことですが、 筋肉の特定の部位に一致します。実際には点ではなく、ある広がりをもった部分なので、 トリガーゾーンと呼んだ方が適切かもしれません。腰痛に限らず、 肩こりや様々な関節周囲の痛みは、実は筋肉の痛みであることが多いのです。 そのような疼痛をきたす疾患を総称して、MPS(筋・筋膜性疼痛症 候群)と言っている人もいます。特に新しい概念ではないのに、なぜか整形外科医や ペインクリニックを行っている麻酔医からは重要視されていないことも多いようです。 もちろん、トリガーポイント注射の効用を強く訴えている先生もおられます。 ⇒加茂整形外科ホームページ

 右の上図は腰部のトリガーポイントです。筋肉は平面で描いてありますが実際に深さが異なります。 また右の下図は殿部のトリガーポイントです。殿部もいろいろな筋肉が重なっており、単純に上から指し示した だけではどの筋肉か言えない場合もあります。 これらのトリガーポイントに局所麻酔剤を注射するのがトリガーポイント注射ですが、解剖学的な理解が 有るか無いかで、当然効果も違ってきます。
 それから、トリガーポイント注射で全ての痛みがとれるということを唱える人もいますが、 そんなことはありません。次のような場合にはトリガーポイント注射は効かないか、 効いても短時間の効果しかありません。

 1)筋肉の挫滅を生じて時間が経ってない場合。
   (このような場合、靭帯等の損傷も併発していると考えられる。)
   例:交通事故などで強い外力が加わった数日以内。
 2)解剖学的に常に筋肉にストレスのかかる場合。
   例:側弯の強い場合の凸側の筋肉(脊柱起立筋)の痛み。
 3)長い時間、同じ筋肉にストレスのかかる姿勢や動作を強いられる場合。
   例:前かがみを続ける場合の腰椎に沿った筋肉(多裂筋)
 4)筋肉が柔軟性を失い(筋肉の線維化)、血行不良が慢性化した場合。
   例:高齢者の慢性腰痛。特に腰の上の方の筋肉(脊柱起立筋)。
 5)筋膜性疼痛の陰に他の原因がある場合。
   例:椎間関節性腰痛、椎間板性腰痛。
 6)神経の刺激症状がある場合。
   例:椎間板ヘルニアの時の殿部(中殿筋など)の痛み
 7) 精神的な要因が大きく関わっている場合。
   例:うつや、強迫神経症を伴う場合

 逆にトリガーポイント注射をしてみて効かなければ、上記のことが疑われるので、 トリガーポイント注射自体が一つの診断の手段となるわけです。

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