変形性腰椎症は、加齢による腰椎の変形です。どのような
変形が起こるかというと、右の図で
@ 椎間板が変性して、骨棘(骨のトゲ)ができる。
A 椎間関節が変形して、神経の出口が狭くなる。
それぞれ、どのようなことが起こるかというと
@⇒ 腰椎の動きが制限される。けれど、これによって
腰痛が増強することはありません。むしろ、筋肉
の負担が減って痛みにくくなる部分もあります。
例えば、高齢者では腰椎の真ん中の痛みは少な
いという傾向があります。
A⇒ 神経の通り道がせまくなったからといって、必ず
しも神経症状が出るとは限りません。もともと、神
経の通り道が狭い人は、それがさらに狭くなって
神経症状がでる人はいます。(腰部脊柱管狭窄症)
症例
83歳男性
主訴:腰痛
診断:変形性腰椎症
レントゲンは右のように、腰椎の全て
の範囲で変形をきたしています。骨棘
は大きく伸びて上下の椎体の間にブリ
ッジがかかっているようです。
よほど、ひどい症状だと思うかも知れ
ませんが、実は腰痛だけで神経症状は
ありません。その腰痛すらも、強いもの
ではありません。おそらく変形により、
腰椎が安定してしまい、症状が出にく
いのだろうと思います。
結局、変形性腰椎症があっても、症状の出る人は一部にすぎないということです。